2018年4月28日土曜日

ステップダウンリングと似非フジツボフードのすすめ

■おすすめの理由3つ

・フードがわりに
中古で手に入るお手頃価格のキヤノンレンズではフィルター径が
58mmのものが主流。少し前のものだと52mmのものもあったり。
一方でAPS-Cサイズでは焦点距離が1.6倍になるためはっきり言って
センサー外の光は無駄である。
ならば、フジツボフードのよう、いっそ垂直に伸ばすレンズフードの代わりに
光の入り口を水平方向に隠してしまうという発想もアリちゃアリ。
ざっくり計算上は58÷1.6≒37mmまでレンズ前面を塞いでも問題
なさそうではあるしファインダーから(実際は見えないが)見える感じは
結果同じではある。
が、斜めから差す光を想定すればわかる通り、斜めからの光はフードで
完全にさえぎられるが中央に穴をあけただけの代物は通り道が小さくは
なるが直接光は入ってきてしまうので効果は限定的。
また、メタルフードの先端にステップダウンリングをかまして微調整するような
使い方でもいいかも。
まあ、そこまで限界追い求めることもないと思うが、フードの先になんか
見慣れないものがついてるとそれはそれでファッション性として
面白いかもしれない。
「フードは常時逆さに装着すべし」を信条としているとぅっとぅるー♪な
ファッション派の皆さんはぜひここで宗旨替えいただきたいが
ただまあ、わけもかわらずフードを先っちょにつけてるみなさんは
十中八九わけもわからず広角赤ハチマキをお持ちでらっしゃるので
縁のない話であると思うが。


・価格重視で
52mmフィルタはものが小さいため58mmフィルタに比べると
新品では価格が幾分安く、中古では低反射率や防汚コーティングを
謳う高級フィルタで状態のいい中古品も需要がないため投げ売り
だったりといいことづくめ。
(ニコンではこっちがデフォっぽくて羨ましい)
よほどの広角レンズでない限り(というか、広角だったらフィルタ径も
でかいことだろう)ケラれないのでデフォで52mm化しておくのもテ。
(EF-S標準ズームではさすがにおすすめしないが)
100円そこそこのステップダウンリングひとつでまず数百円は
おつりがくるので必需品といっていい。
お高い58mmフィルタ買う必要なんてどこにもない。

・絞りの発想
上記フードの考え方に近いが、こっちは絞り固定レンズのフロント側に
絞りを加えるような発想。
厳密なサイズは異なるが58mm径を52mm径に狭めることにより
光の通り道をレンズ外周側から約20%絞り、その分不要な光が
レンズ内に侵入するのを排除することができる。
レンズ加工技術・コーティング技術の進んだEF-Sレンズなら特段
気にしなくていいが、さほど出来のいいものでもない時代の
ものなら少しでも削れるだけ削っても決して損にはならないだろう。
誤解のなきよう書くが、絞りの手前側へはあぶれた光はやって
これない。
ここで防ぎたいのは主に前玉から絞り環の間でピンボールのように跳ね回る
光そしてレンズ外周部を通る光であって、絞りによって発生しうる回折光ではない。

もういっちょ49mmやそれ以下に絞ってもいいっちゃいいが、
逆にフィルタの調達が高アタリになりそうであるしフードの
口径もより狭まり深くしづらくなるためこれまた52mmで
とどめておいたほうがいいんじゃないかしら。

ただ、直径6mm削ったところでフィルタ枠がレンズの枠より小さく
なることはほとんどなく、あってもごく僅かなのだが。

注意点含め次にここらへんについて書く。


■ステップダウンリングと有効口径との兼ね合いについて

あまりに小さいステップダウンリングをかますと場合によって
不都合が発生する。
ここではEF100-300mm F4.5-5.6 USMを例に挙げる。

100-300mmなのでW端はもちろん100mmである。
APS-C換算では160mm相当となり、かなり画角は小さい。
どれほどかというと市販品ではたぶん存在しないサイズの、工作で
作ったφ20mmの模擬SDリング穴さえケラレなく写してしまう。

じゃあそのまま使えますかねっていうとそうは問屋が卸すわけでなく
100mmの時はAFは機能するが、どういうわけか300mmだとAFが
迷ってしまいまったくピントが来なくなってしまった。

ここで問題を解くカギは開放F値と有効口径。

・100mmのとき
開放絞りはF4。有効口径は割り算した25mm(直径)。
有効口径はレンズ前面(模擬SDリングと大体同じ位置)を通る
まっすぐな光の太さをあらわす。

このとき、模擬SDリングは直径20mmであり直径25mmの光を
さえぎるが大きく削ることはないので問題は発生しない。

・300mmのとき
開放絞りはF5.6。有効口径は約53.6mm(直径)。
どっこいレンズの先では上述の直径20mm穴しか開いておらず、本来
通るはずの光の量をまったく確保できていない。
オートフォーカスは絞り開放でなされるので、AFが機能するには
暗すぎるのである。
ファインダーを覗いた時点で暗いので明らかに明るさが足りない
ことがわかる。

よって、AFを正常に機能させるにもきちんと十分明るく写しとる
にも最低φ54mm以上の光の通り道を確保しなくてはならない。

要するに、W端でフルサイズ相当の画角は割り込んでもいいが
有効口径は割っちゃダメってこと。
この点で言えばフィルタ52mm化は計算上若干割っている。
が、APS-Cでは影響のない範囲であるのか、シャッタースピードに
変化はなかった。

一方画角だけで見れば、58÷1.6≒37mmステップダウンリング
(穴の大きさ35mmくらい)かますくらいなら問題なさそうだが
実際はAFは動作するも開放F5.6においてシャッタースピードが
1/160から1/60になってしまった。
撮り比べてみると実際は0.83EVの差だったので1.83のルートで
1.35×35mm=およそ47mmの穴がギリギリ最低ラインで必要と
計算上導かれた。
ねじ分で2mm程度なのでギリ攻めるのであれば49mmステップダウンと
49mmステップアップの組み合わせをかますとよいのだがしょせん
52mmにもーちょい削っただけなので52mm化するだけでじゅうぶん
いっぱいいっぱいとしていいだろう。
ただ実際、49mmステップダウンでもシャッタースピードに変化は
見られなかった。

ともあれ、有効口径は割らないのが賢明。
計算上の有効口径からギリギリまで削るにしても、10~15%減
くらいにとどめておいたほうがいいと思う。
実際はまず先に画角を割り込んでしまうはずなので300mmなんて
長焦点でない限り画角だけみてりゃいいって話だと思う。


■似非フジツボフード焦点距離目安(フード併用)

フードを長く伸ばしたほうが遮光効果はあるのはもちろんだけど
コンパクトさも大事よねという観点でみていく。

表は2cm高のフードを装着した時点でのフィルタ径。
焦点距離は35mm換算の物(1.60倍)。
要はどのサイズのステップダウンリングなら、フードによって
レンズから2cm伸びた地点でケラれないかって話。
言い方を変えると、ハナから口径の小さいレンズフードをかますのと
口径の大きいフードをかましてステップダウンリングですぼめるのは
効果はいっしょだよねって話。

レンズ側オスφ58mm径フードならメス側フィルタ径の大きさはφ62mm、
レンズ側オスφ52mm径フードならメス側フィルタ径はφ58mm。
※黄色セルは市販のステップダウンリングサイズ

フィルタやステップダウンリングの厚みで幾分焦点距離が
増すため数ミリ余裕を持つといい。
タイトめになるとねじの締め付け具合でギリギリケラレたり
解消したりする。
また、口径サイズ比は単純にサイズ比で求めたのであって
実際にはあるだろうねじ穴分の差異は考慮していない。

数字の根拠はいかのとおり。
・58mmフィルタ+58mmフードにおいて
45mm相当で問題なかったため、1mmマージンとってはじまりを44mmに設定
実際はもう少し余裕あると思うが安牌切っとく。



□装着例
58→52mmステップダウン+52mmフィルタ+52mm径フード+58→49mmSDリング



計算上ギリなため念のためここで使用したのは中華製でなく
日本製の薄枠52mmステップダウンリングとこれまた薄いハクバのULTINA。
実際はAFで動く範囲ならそこまでしなくても問題ないはず。


■似非フジツボフード焦点距離目安(フードなしのポン付け)

極限までコンパクトにしたいならフィルタにそのままステップダウン
リングをかましてやればいい。
有効口径はおいといてEF-S18mm/EF28mm標準ズームで58mmフィルタが
ケラレなくつけられるんなら画角を単純に計算していけばいい。
下表は35mm換算での焦点距離(1.60倍)と必要なフィルタ径。
実際はちょびっとくらい余裕あるはず。



表からするとφ37mmステップダウンリングはAPS-C35mm→56mm相当では余裕でクリアしており
実際28-90mmのW端(45mm相当)でも問題なし。
ただ上述の通り、遮光効果は限定的なのでこういう使い方は
通常のフードがわりとしては特段おすすめしないが、順光に
保険かけるような気持ちなら十分だろう。
煩わしいレンズキャップの脱着が嫌いな人にはおすすめ。

□装着例(EF35-135mm F4-5.6 USM)
58→52mmステップダウン+52mmフィルタ+52→37mmSDリング



【実写】

ここではW端のケラレ有無でなく不要光排除の効果有無を見に行く。
設定はいずれもISO400・F8・1/1000・テレ端。
計算上有効口径は135/8≒17mm(<37mm)

37mmリング非装着時


中央部切り出し


37mmリング装着時


中央部切り出し


ま、どっちも変わらないよね。絞ってるし。